産業廃棄物を排出したら、その事業者が責任をもって処理を行う義務があります。そして、産業廃棄物の減量化に努め、資源化、再生を目指すことを求められます。しかし、どれもこれも産業廃棄物となるわけではありません。
事業者が変わると、同じゴミ(廃棄物)なのに事務系一般廃棄物となる場合もあります。非常にややこしいのですが、産業廃棄物を見極めるポイントは、排出された場所とゴミの種類です。
まずは、産業廃棄物と一般廃棄物の違いについて理解することからはじめましょう。
産業廃棄物は、通常の「産業廃棄物」と「特別管理産業廃棄物」に分類されています。
「産業廃棄物」とは、工場や工事現場などの事業活動で排出されたゴミのうち、法令で定められた20種類のゴミ(廃棄物)を指します。
さらに、21種類の中でも爆発性、毒性、感染症の危険性があるものを「特別管理産業廃棄物」と定められています。
まず、勘違いしやすいポイントは「事業活動で排出」という点です。事業活動と言えば、ほとんどの方が会社・工場・店舗などの営利を目的としているものを思い浮かべると思います。
しかし、実は、営利目的ではない学校や病院・公共施設も含まれています。
そして、20種類の産業廃棄物の中の7種類(紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、動植物系固形不要物、動物の糞尿、動物の死体)は、特定業種が排出した場合のみ産業廃棄物となります。
産業廃棄物を理解するためには、一般廃棄物についての知識が欠かせません。
つぎの章では「一般廃棄物」について説明していきます。
廃棄物は、一般廃棄物と産業廃棄物に分けられます。
一般廃棄物は3種類あります。
1の「家庭系一般廃棄物」は、いわゆる家庭のゴミのことです。2の「事業系一般廃棄物」は、特定業種以外の特定の工程から出た以外の廃棄物です。
例えば、オフィスで出た書類やコピー用紙は、事業活動で出たゴミではありますが、特定業種ではないため「事業系一般廃棄物」となります。
3の「特別管理一般廃棄物」は、事業系一般廃棄物の中でも毒性・感染症などの人の健康を脅かすもの、爆発する危険がある廃棄物を指します。
一般廃棄物以外の廃棄物が、産業廃棄物となりますが、自治体によっては対応に違いがあるようです。
実際に廃棄物を処分する場合、産業廃棄物なのか、一般廃棄物として出していいのか迷うことが多々あります。
具体例をあげて説明します。
とても少ない量の産業廃棄物を家庭ゴミと混ぜて一般廃棄物として収集場所に出した。
これは、不法投棄とみなされます!産業廃棄物に量は関係ありません。「少しくらいなら、いいかな?」と思う気持ちは分かりますが、見つかれば罰則を科せられます。
パン屋で残ったパンの売れ残りは、事業活動で排出されたゴミだから産業廃棄物になる?
これは、産業廃棄物ではなく、事業系一般廃棄物となります。
産業廃棄物の種類で「動植物性残さ」というのがありますが、この品目は特定業種が排出した場合のみ産業廃棄物になります。製造小売業であるパン屋は特定業種ではないので、事業系一般廃棄物として処理します。
産業廃棄物を回収・処理するにあたって、まずは分別する必要があります。産業廃棄物にはさまざまな種類が存在し、これらを分別することも排出事業者の役割です。分別が難しい産業廃棄物については混合廃棄物として扱う必要があるため、ほかの産業廃棄物とは分けて管理します。
産業廃棄物の分別が終わったら、収集・運搬業者が回収に来るまで保管しておきます。産業廃棄物を保管する際は、匂いが漏れたり、ねずみや虫が発生したりしないように注意しましょう。また、産業廃棄物を保管するにあたって、保管場所の周りに囲いをつくり、保管場所であることを示す掲示板の設置が排出事業者には義務付けられています。
収集・運搬業者が排出事業者から産業廃棄物を収集し、指定の処分場・リサイクル施設に運搬します。ちなみに産業廃棄物を収集・運搬するには、都道府県からの許可が必要です。収集場所と荷下ろし場所の都道府県が異なる場合は、それぞれの都道府県で許可を得る必要があります。
収集した産業廃棄物が少量しかない場合、産業廃棄物をまだ積める状態で処理施設に運搬するのは効率が悪いため、運搬の途中で積替えが行われることがあります。積替えを行う場合は専用の保管施設に産業廃棄物を運搬し、そこで一旦保管。その後、他社の産業廃棄物とまとめて車両に積み込み、処理施設へと運搬します。
運搬の途中で積替えを行う場合、排出事業者から廃棄物を収集して積替え保管施設へ運搬する業者と、積替え保管施設から処理施設へ運ぶ業者は別です。
産業廃棄物は中間処理場に運搬され、最終処分またはリサイクルしやすい形に処理されます。中間処理後に再生可能な廃棄物があれば、原材料や燃料として有効に活用。再利用できないものについては最終処分の対象になります。最終処分では周囲の環境に悪影響を及ぼさない形に加工し、土の中に埋めたり海に投棄したりといった方法で処理が行われます。
排出した産業廃棄物を正しく分別・保管したうえで、適正に処理するのが排出事業者の役割です。産業廃棄物を収集・運搬業者へ渡したら終わりではなく、委託先の収集・運搬業者や処分業者の状況を把握し、適正に処分が行われているかもしっかりと確認する必要があります。
不適切な業者に委託して処理が適正に行われなかった場合、排出事業者の責任が問われるので、適正な業者に委託することも重要なポイントです。委託業者を選ぶ際は、収集・運搬または処理の許可を得ているかを必ず確認しましょう。また、場合によっては処理状況の現地視察などを行い、信用できる業者かどうかを判断することも必要になります。
収集・運搬業者の役割は、排出事業者から収集した産業廃棄物の性状を変えずに、処理場まで運ぶことです。また、過去に産業廃棄物が運搬中に落下し、交通に多大な影響を与えた事故も発生していることから、産業廃棄物の収集・運搬時の事故防止対策も求められています。
処分業者の役割は、収集・運搬された産業廃棄物を適正に処理することです。産業廃棄物の処理は中間処理・リサイクル処理・最終処分の3つに分類され、それぞれで行われる処理の内容や目的が異なります。
たとえば中間処理では、廃棄物を検査・選別し、焼却や粉砕、溶解、脱水などの処理が行われます。リサイクル処理は、廃棄物を加工・原材料化し、再利用するのが目的です。最終処分では再利用できない廃棄物を内陸や海面に設置された施設に埋め立てます。
産業廃棄物の回収・処理にかかる費用は、業者によって異なります。たとえば関東で産業廃棄物の処理にかかる費用の目安は以下の通りです。
産業廃棄物 | 最高価格 | 最低価格 | 平均価格 |
---|---|---|---|
木くず | 42,000円/トン | 7,500円/トン | 14,000円/トン |
チップ | 2,500円/トン | 900円/トン | 1,700円/トン |
木毛板 | 26,000円/トン | 13,000円/トン | 21,000円/トン |
アスファルト | 1,600円/トン | 800円/トン | 1,200円/トン |
金属くず | 7,500円/トン | 800円/トン | 3,500円/トン |
ガラス | 43,000円/トン | 1,500円/トン | 7,500円/トン |
燃え殻 | 46,000円/トン | 8,500円/トン | 24,000円/トン |
廃プラスチック | 110,000円/トン | 7,500円/トン | 56,000円/トン |
紙くず | 110,000円/トン | 9,500円/トン | 47,000円/トン |
繊維くず | 110,000円/トン | 9,500円/トン | 41,000円/トン |
残土 | 1,800円/トン | 1,000円/トン | 1,300円/トン |
コンクリートガラ | 3,800円/トン | 900円/トン | 1,500円/トン |
汚泥 | 28,000円/トン | 17,000円/トン | 20,000円/トン |
石 | 1,900円/トン | 1,100円/トン | 1,500円/トン |
タイヤ・ゴムくず | 110,000円/トン | 4,500円/トン | 4,500円/トン |
ばいじん | 73,000円/トン | 17,000円/トン | 35,000円/トン |
廃油 | 110,000円/トン | 55,000円/トン | 78,000円/トン |
鉱さい | 41,000円/トン | 17,000円/トン | 29,000円/トン |
わかりにくい!と言われる産業廃棄物の詳細についてまとめました。複雑ですが、まずは基本となる一般廃棄物の3種類と産業廃棄物の2種類をマスターしてください。
そして、事業者は「事業系一般廃棄物」「産業廃棄物」のどちらの場合でも都道府県知事の許可申請が必要です。
21種類の産業廃棄物と特定業種、特別管理産業廃棄物については別の記事で詳しく説明します。
取り扱い メーカー数 |
21社 |
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メーカー種別 | 海外 |
製品の保守・サポートが強み。木更津に「パーツセンター」「QCセンター」「テストセンター」の機能を有した施設があり、パーツセンターでは7000種18万点のスペアパーツを保有。
取り扱い メーカー数 |
3社 |
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メーカー種別 | 国内・海外 |
日々環境分野において様々な研究開発を行い、1925年の創業から顧客のニーズを実現すべく品質向上に力を注いでいます。
取り扱い メーカー数 |
1社 |
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メーカー種別 | 国内 |
北九州にある本社を拠点に全国11ヶ所の工場を持ち、「スラグリサイクル事業」「環境非鉄リサイクル事業」「リサイクル機器プラント事業」に注力。
※2021年7月21日時点に、「選別機」または「産業廃棄 選別機」と「Google」で検索した際に表示された、中間処理に関する機器を取り扱っている企業の公式HPの上位57社を調査しました。
※取り扱いメーカー数及び対応種類の多い企業、かつ、プラント設計に対応している企業をピックアップしました。
循環型社会の実現に向け、廃棄物の削減に継続的に取り組むために、昨今の世情における産廃事業への取り組みについて掲載。
産廃事業社に求められる資質や姿勢など、事業において必要な見解をまとめています。